検証済みTOB事例

FCMのTOB・MBO事例:アスパラントグループSPC5号(2018-11-02公表・第一回)

FCM第一回TOBは、一般株主向けの買収価格ではなく、親会社だった古河電工の55.21%持分を3,050円でファンドへ移すカーブアウトの第一段階だった。価格は市場終値を15.3%下回り、買付数もほぼ合意株式に限定された。一般株主には後続の第二回で4,200円を提示する二価格設計である。

主要条件

対象会社 FCM 5758
買付者 アスパラントグループSPC5号 FCM←アスパラントグループSPC5号
TOB価格 買付代金は約28億6000万円 比較基準株価: 3,600円
プレミアム -15.28% official_start_announcement_previous_close
公開買付期間 2018-11-02 - 2018-11-30 代理人不掲載
最終進捗 成立(一次資料で結果確認) 2018-12-01 / FCM株式会社株式に対する第一回公開買付けの結果に関するお知らせ

TOB応募の確認事項

案件の読み方

条件メモ

買付価格は買付代金は約28億6000万円、比較基準株価は3,600円です。

プレミアムは-15.28%で、分類はディスカウントTOBです。

公開買付期間は2018-11-02 - 2018-11-30、進行状況は終了として整理しています。

最終進捗は成立(一次資料で結果確認)、最終イベントは2018-12-01の「FCM株式会社株式に対する第一回公開買付けの結果に関するお知らせ」です。

確認ポイント

  • ディスカウントTOBでは、既存の支配関係、流動性、応募契約、上場維持方針を確認し、単純な価格差だけで判断しない。
  • FCMとアスパラントグループSPC5号の資本関係、応募契約、買付予定数の下限・上限、成立後の上場維持または非公開化方針を確認する。
  • 最終判断では速報だけでなく、対象会社の意見表明、公開買付届出書、訂正届出書、結果公表を確認する。

一次資料に基づく案件別分析

結論

FCM第一回TOBは、一般株主向けの買収価格ではなく、親会社だった古河電工の55.21%持分を3,050円でファンドへ移すカーブアウトの第一段階だった。価格は市場終値を15.3%下回り、買付数もほぼ合意株式に限定された。一般株主には後続の第二回で4,200円を提示する二価格設計である。

確認した事実

  1. f37-two-step 確認済み アスパラントグループSPC5号は、第一回で古河電気工業の保有株を取得し、成立後に一般株主向け第二回TOBを行ってFCMを非公開化する二段階構成を採った。

  2. f37-price 確認済み 第一回価格3,050円は2018年10月30日終値3,600円に15.3%、過去3か月平均3,510円に13.1%のディスカウントだった。

  3. f37-terms 確認済み 第一回公開買付期間は2018年11月2日から11月30日までの20営業日で、買付予定数・下限・上限はいずれも古河電工の保有数と同じ940,567株だった。

  4. f37-result 確認済み 第一回には941,267株の応募があり、あん分計算の端数処理を経て940,600株を買い付け、買付後所有割合は55.21%となった。

  5. f37-next-price 確認済み 成立後の第二回価格は4,200円とされ、第一回3,050円より1,150円、37.7%高く、一般株主には市場価格を上回る別条件が用意された。

背景

古河電工には非中核持分を売却するカーブアウト需要があり、FCMには設備投資や研究開発を中長期視点で進めるため外部資本を導入する必要があった。アスパラントは最初に支配株を確保し、その後に残存株を買うことで取引確実性と少数株主の出口を分けた。

第一回の上限・下限を古河電工保有数と同じにしたため、目的は誰からでも940,567株を集めることではなく、契約済みの支配ブロックを移すことにあった。FCMは第一回価格の妥当性について意見を留保し、一般株主の応募判断を委ねていた。

なぜこの取引が選ばれたか

3,050円と4,200円の差は同じ株式への恣意的な差別ではなく、売り手古河電工との相対交渉価格を低く抑え、その差額を一般株主向けプレミアムへ回す取引全体の資金配分だった。第一回を安く取得できたことで、第二回を市場価格より高く設定する余地が生まれた。

第一回成立を第二回開始の前提にしたことで、ファンドは過半数取得が確定してから残存株主へ高値を提示できた。反対に第一回が成立しなければ全体を進めないため、カーブアウトの土台となる支配権移転リスクを先に解消する順序だった。

プレミアムの読み方

第一回3,050円は終値3,600円比15.3%、1か月平均3,530円比13.6%、3か月平均3,510円比13.1%、6か月平均3,468円比12.1%のディスカウントである。ただし一般株主向け第二回は4,200円で終値比16.7%のプレミアムだった。二つを混ぜてFCMのTOB価格を3,050円だけと表示するのは誤りである。

少数株主の論点

一般株主が第一回へ3,050円で応募すると、後に予定された4,200円より1株1,150円不利だった。第一回に古河電工保有数を700株上回る応募が出たものの、買付は上限付近に制限された。対象会社が第一回への応募推奨をしなかったことは、この価格差を踏まえると合理的である。

結果の評価

あん分端数のため計画940,567株に対し940,600株を取得し、所有割合55.21%で親会社となった。第一段階の目的は達成され、第二回を開始する条件が整った。第一回だけでは少数株主の退出も非公開化も完了しておらず、成功評価は第二回へ接続できた点に限定すべきである。

確認できない点・限界

第一回結果資料は応募者別内訳を開示しないため、古河電工以外の応募700株が誰のものかは確認できない。また本ケースは第二回を別記録として扱うため、最終非公開化の結果は2018_29で評価する。

資料一覧

このTOBの位置づけ

案件タイプ

古河電工には非中核持分を売却するカーブアウト需要があり、FCMには設備投資や研究開発を中長期視点で進めるため外部資本を導入する必要があった。アスパラントは最初に支配株を確保し、その後に残存株を買うことで取引確実性と少数株主の出口を分けた。

第一回の上限・下限を古河電工保有数と同じにしたため、目的は誰からでも940,567株を集めることではなく、契約済みの支配ブロックを移すことにあった。FCMは第一回価格の妥当性について意見を留保し、一般株主の応募判断を委ねていた。

読みどころ

3,050円と4,200円の差は同じ株式への恣意的な差別ではなく、売り手古河電工との相対交渉価格を低く抑え、その差額を一般株主向けプレミアムへ回す取引全体の資金配分だった。第一回を安く取得できたことで、第二回を市場価格より高く設定する余地が生まれた。

第一回成立を第二回開始の前提にしたことで、ファンドは過半数取得が確定してから残存株主へ高値を提示できた。反対に第一回が成立しなければ全体を進めないため、カーブアウトの土台となる支配権移転リスクを先に解消する順序だった。

第一回3,050円は終値3,600円比15.3%、1か月平均3,530円比13.6%、3か月平均3,510円比13.1%、6か月平均3,468円比12.1%のディスカウントである。ただし一般株主向け第二回は4,200円で終値比16.7%のプレミアムだった。二つを混ぜてFCMのTOB価格を3,050円だけと表示するのは誤りである。

一般株主が第一回へ3,050円で応募すると、後に予定された4,200円より1株1,150円不利だった。第一回に古河電工保有数を700株上回る応募が出たものの、買付は上限付近に制限された。対象会社が第一回への応募推奨をしなかったことは、この価格差を踏まえると合理的である。

会社IR、法定開示、取引所開示などを案件単位で照合しています。一次資料は3件、確認日は2026-07-16です。

条件と進捗

開始種別開始

案件区分TOB

スケジュール終了

応募期間2018-11-02 - 2018-11-30

イベント数2

上場・手続き上場方針不掲載

100株損益不掲載

3か月プレミアム-13.11%