案件タイプ
大和ハウスはデータセンターや半導体工場の建設需要を取り込むため、電気・通信設備の専門施工力を内部化する狙いを持つ。住友電設には国内の設備工事力と東南アジア基盤があり、建物受注から専門工事までを一体提案できれば、案件獲得と工程管理の両面で補完性がある。
建設業の人手不足と労働時間規制の下では、受注増だけでなく施工能力の確保が制約になる。買収後も住友電工との業務提携を残す設計は顧客・技術関係を維持する利点がある一方、大和ハウス向け案件と従来案件の人員配分を適切に管理する必要がある。
読みどころ
シナジーはデータセンター・半導体案件の共同受注額、設備工事の内製率、施工粗利、工期遵守率、技術者採用・定着、東南アジアでの案件数で測るべきである。グループ内発注を増やしても外部受注を失えば価値が相殺されるため、受注源別の採算開示が重要になる。
旧親会社の住友電工がすぐには売却せず、スクイーズアウト後の自己株式取得へ回ることで、TOB成立時点では新旧親会社が共同で91.55%を持つ移行状態になった。完全所有への到達には残余株主の整理と自己株取得の双方が必要で、TOBのみを買収完了と表現するのは早い。
一般株主向け9,760円は当初8,287円から1,473円引き上げられ、直前終値比28.08%、6か月平均比50.83%だった。野村證券の市場株価、類似会社、DCFの全レンジ上限を超える。住友電工向け6,877円は別の自己株式取得価格で、法人税務を踏まえ税引後手取額を合わせる設計と説明されており、額面だけで一般株主との条件差を評価できない。
一般株主は9,760円で建設需要と施工能力の両方の不確実性を現金化できた。下限は11.03%相当と低めでも、住友電工が50.66%を保有したまま取引に協力するため、成立後の支配移行は契約全体に依存する。9,760円の公開買付けと6,877円の親会社向け自己株取得を同じ市場取引として比較しないことが重要である。