案件タイプ
買付者の提出書類では、池田物産は日産グループ向け座席の主要供給者で、1999年の連結売上高は約12億ドルと説明された。既存の日本事業を小さく積み上げるより、完成車メーカーとの関係、工場、人材、技術を一括取得してアジアでの座席事業を強化する狙いが読み取れる。
成立可能性は公表時点から高かった。Johnson Controlsの10-Qでは対象会社が提案を歓迎し、合計50%超を持つ二つの主要株主が応募意向を示していたからである。大株主の個別名や各持分はこのSEC資料では分解できない。また応募意向は予測であり、実際の最終取得数とは区別する必要がある。
読みどころ
全株取得を掲げながら最初の決済で約90%にとどまった点は失敗を意味しない。公表時には過半を持つ大株主群が応募意向を示し、SEC年次報告も九月の支配持分取得を確認している。残余株主は後続の持株会社化で整理されたため、TOBと株式移転は目的が連続しても法的に別の取得段階だった。
買付者は株式代金だけでなく対象会社の債務も織り込んでおり、企業全体への資金負担は株価に株数を掛けた額より大きいと見込んでいた。開始時の約1億ドルと実際の約9,000万ドルの差は取得比率の違いと整合的だが、為替や費用を含む精密なブリッジまでは作れない。
Johnson ControlsのSEC提出書類は、1株当たりの対価を米ドル換算の概算1.12ドルとしている。これは開示時の為替に基づく概数で、国内応募者への円建て買付価格や精密な支払額と同じではない。公表前の市場終値、期間平均、算定レンジを原本で確認できないため、プレミアム率は算出しない。
応募株主には全株を対象とする現金化の機会が示され、過半を持つ主要株主群も応募意向を示した。しかし結果は約90%で、応募しなかった少数株主には流動性低下と後続再編の条件不確実性が残った。翌年の上場廃止まで進んだが、残余株主が同額の現金を受けたとは確認できない。