案件解説

ブルドックソース事件を解説|買収防衛策と最高裁決定

スティール・パートナーズ系ファンドの敵対的TOBに、ブルドックソースが株主総会で承認された買収防衛策で対抗した事件。TOBは成立したものの、買付者は支配権を取得できませんでした。

案件の基本情報

買付者
スティール・パートナーズ・ジャパン・ストラテジック・ファンド-エス・ピー・ヴィーII
買付価格
1,584円 → 1,700円 → 425円(1対4株式分割後、実質1,700円)
公表前株価との関係
株式分割前後で株数単位が異なるため、単純な株価比較は不可 / 公表後に1,584円から1,700円へ引上げ、株式分割後は425円へ単位調整
買付期間
2007年5月18日から2007年8月23日

この案件の結論

公開買付けは成立しましたが、株主総会の支持を得た防衛策によって持分が希薄化し、買付者はブルドックソースの支配権を取得できませんでした。

この記事の要点

  1. 価格は1,584円から1,700円へ上がり、1対4の株式分割後は同じ経済価値の425円へ調整された。
  2. 応募・取得は1,318,456株で、公開買付け自体は成立した。
  3. 防衛策後の所有割合は買付者単体1.89%、特別関係者込み5.41%にとどまった。
  4. 最高裁は2007年8月7日、株主総会決議を経た防衛策の差止めを認めなかった。

2007年のスティール・パートナーズによるブルドックソースTOB

この事件は、次の3点が一体となった、日本のM&A・会社法上の代表的事件です。

  1. スティール・パートナーズ・ジャパン・ストラテジック・ファンド-エス・ピー・ヴィーIIが、ブルドックソースの全株式を対象とする同意なきTOBを開始した
  2. ブルドックソースが、買付者側だけを実質的に希薄化する新株予約権を、TOB開始後に導入した
  3. 最高裁が、株主総会の圧倒的な賛成と買付者への金銭補償を重視し、買付者側の抗告を棄却して防衛策の差止めを認めなかった

日本で買収防衛策が実際に発動された最初の事例と位置づけられ、特に「会社の買収に対し、取締役会ではなく株主がどこまで防衛を決められるか」を示した点で重要です。ここでいう「敵対的」または「同意なき」とは、対象会社の取締役会が賛成していないという意味であり、TOB自体が違法だったという意味ではありません。詳しい判断理由は最高裁決定で確認できます。


1.TOBの概要

法的な買付主体であるスティール・パートナーズ・ジャパン・ストラテジック・ファンド-エス・ピー・ヴィーIIは、特別関係者を含むスティール側がブルドックソース株式の約10.25%を保有する状況で、2007年5月18日に全株式を対象とするTOBを開始しました。

当初の条件は次のとおりです。

項目内容
TOB開始日2007年5月18日
当初の買付価格1株1,584円
当初の期限2007年6月28日
買付対象原則として全株式
買付予定数の上限・下限なし
特別関係者を含むスティール側の既保有割合約10.25%

上限がなかったため、十分な応募があればスティール側が経営支配権を取得し、最終的には完全買収に近い状態になる可能性がありました。一方、下限もなかったため、応募数が少なくても、その分だけ買い増すことができる設計でした。開始時の条件はブルドックソースの開示に記録されています。

その後、買付者は2007年6月15日に買付価格を1,584円から1,700円へ引き上げ、期限を8月10日まで延長しました。


2.ブルドックソースが警戒した理由

ブルドックソース側が重視したのは、価格だけではなく、スティール側が買収後に会社をどう経営するのかという点でした。

ブルドックソースが提出させた質問に対し、スティール側は、当時おおむね次のような回答をしていました。

  • 日本企業の経営に直接関与した経験や、ブルドックソースを自ら経営する具体的な予定はない
  • 経営権取得後の事業計画、経営計画はまだ具体化していない
  • 企業価値向上のための具体的提案も現段階では持っていない
  • 投下資本をどのように回収するかについても、具体的方針は定まっていない

公開買付届出書上、投資目的は有価証券投資による利益獲得とされていました。全株式を対象とするTOBである一方、取得後の経営方針が明確でなかったことから、ブルドックソース側は、会社の企業価値や株主共同の利益を損なうおそれがあると主張しました。

ただし、ここは重要な注意点です。最高裁が、スティール側は実際に会社を解体・収奪しようとしていたと独自に認定したわけではありません。 最高裁の中心的な考え方は、「その買収が会社の価値を害するかどうかについては、原則として株主の判断を尊重する」というものでした。


3.事件の時系列

日付出来事
5月18日買付者が1株1,584円でTOBを開始
6月7日ブルドックソース取締役会がTOBへの反対を正式決定し、新株予約権を使った防衛策を株主総会に提案
6月13日買付者側が、新株予約権無償割当ての差止めを求めて東京地裁に仮処分を申請
6月15日買付者がTOB価格を1,700円に引き上げ、期限を8月10日まで延長
6月24日ブルドックソース株主総会が防衛策を特別決議で承認
6月28日東京地裁が買付者側の差止申立てを却下
7月9日東京高裁も抗告を棄却
7月11日新株予約権の無償割当てが効力発生
8月7日最高裁が買付者側の抗告を棄却し、防衛策の差止めを認めない判断が確定
8月9日買付者がTOB価格を1対4の株式数調整に合わせて425円へ変更し、期限を8月23日まで延長
8月23日TOB終了。1,318,456株の応募を全て取得し、TOB自体は成立

株主総会では、出席株主の議決権の約88.7%、総議決権の約83.4%が防衛策に賛成しました。単純な過半数ではなく、会社全体の議決権を基準にしても非常に高い賛成率だったことが、その後の裁判で決定的な意味を持ちました。

裁判手続とTOB終了までの経過は、裁判所の決定最高裁決定に関する会社開示公開買付けの結果で確認できます。


4.ブルドックソースの買収防衛策の仕組み

ブルドックソースは、全株主に対して、保有する普通株式1株につき3個の新株予約権を無償で割り当てました。

しかし、すべての株主を同じように扱ったわけではありません。

一般株主の場合

一般株主が受け取った新株予約権については、ブルドックソースがその予約権を取得し、その対価として、予約権1個につき普通株式1株を交付する仕組みでした。

したがって、旧株式1株を持っていた一般株主は、

  • 元から持っている株式:1株
  • 予約権3個との交換で受け取る株式:3株

の合計4株を持つことになります。

実質的には、1株が4株になる、4分割に近い効果です。

買付者側の場合

買付者側は「非適格者」とされ、予約権を行使したり、予約権と引き換えに普通株式を受け取ったりすることができませんでした。

その代わり、ブルドックソースが買付者側の予約権を、1個396円で取得する仕組みになっていました。

396円という金額は、当初のTOB価格1,584円を4で割った金額です。

1,584円 ÷ 4 = 396円

つまり、一般株主には株式を交付する一方、買付者側には株式ではなく現金を交付することで、経済的損失を一定程度補償しながら、その議決権割合だけを大幅に薄めようとしたのです。防衛策の設計はブルドックソースの2007年6月7日付開示に示されています。

希薄化の効果

一般株主の株式数が実質的に4倍になる一方、買付者側の株式数は増えません。TOB前に約10.25%を保有していた特別関係者の既保有分は、この資本構成の変化だけを反映すると約2.82%まで低下する見込みでした。これは最終的なTOB取得分を含む割合ではありません。

この仕組みの本質は、

買付者側の財産的価値については現金で一定程度保護するが、経営支配権を取得する可能性は大きく低下させる

という点にありました。希薄化の仕組みは野村資本市場研究所のレポートでも整理されています。


5.なぜTOB価格が1,700円から425円になったのか

最高裁決定後の2007年8月9日、買付者はTOB価格を1株1,700円から425円に変更しました。

一見すると75%の大幅値下げですが、これは新株予約権の発動で一般株主の保有株式数が実質的に4倍になったことに対応する機械的な調整です。

1,700円 ÷ 4 = 425円

したがって、従来1株を持っていた一般株主が4株を取得した場合、

425円 × 4株 = 1,700円

となります。旧株式1株当たりで考えた買付総額は、理論上は変わりません。したがって、この価格変更だけを見て、買付者が買付価格を実質的に4分の1に切り下げたと理解するのは正確ではありません。2007年8月9日付の条件変更開示にも、株式数の変化に伴う調整として記載されています。


6.裁判で争われた主な法律問題

争点1:特定株主だけを差別してよいのか

会社法は、原則として株主をその保有株式の内容・数に応じて平等に扱うことを求めています。これが株主平等原則です。

本件では、一般株主には株式が交付されるのに、買付者側には株式が交付されず現金だけが渡されます。したがって、形式的には明らかに異なる取扱いです。

最高裁はまず、新株予約権の無償割当てについても、株主平等原則の趣旨が及ぶとしました。つまり、

新株予約権だから株主を自由に差別してよい

としたのではありません。

そのうえで、買収によって企業価値や株主共同の利益が害されるおそれがあり、それを防ぐために必要で、かつ買収者に過度の損害を与えない合理的な措置であれば、異なる取扱いが例外的に許されると判断しました。


争点2:買収が会社の利益を害するかを誰が決めるのか

最高裁が示した最も重要な考え方は、次の部分です。

買収者による経営支配権の取得が、

  • 会社の企業価値を損ない
  • ひいては株主共同の利益を害するか

については、原則として、会社の所有者である株主自身が最終的に判断するべきである、としました。

そして、株主総会の判断過程や前提となった事実に重大な欠陥がない限り、裁判所はその判断を尊重すべきだとしました。

本件では、

  • 買付者側に意見表明の機会が与えられていた
  • 株主にTOBと防衛策に関する情報が提供されていた
  • 総議決権の83.4%という圧倒的多数が賛成した
  • 買付者側から具体的な買収後の経営計画等が示されていなかった

などから、株主総会の判断過程に重大な欠陥はないとされました。


争点3:買収者に与える不利益は大きすぎないか

防衛策によって買付者側の持株比率は大幅に低下します。したがって、財産価値だけでなく、将来の経営支配権取得という機会も失われます。

最高裁は、それでも本件の措置を過度ではないと判断しました。その理由として、

  • 買付者側の新株予約権を無価値にしたわけではない
  • 予約権1個につき396円の現金が交付される
  • 株式の希薄化に伴う財産的損失を補う設計になっている
  • ほぼすべての一般株主が、会社から現金が流出することも含めて防衛策を承認している

ことを重視しました。

したがって、最高裁の判断は、

買収者を差別してもよい

という単純なものではなく、

買収者に経済的補償を行い、手段が目的に比べて過剰でなく、株主総会が十分な情報のもとで承認しているなら、異なる取扱いも許容され得る

というものです。


争点4:TOBが始まってから防衛策を導入してよいのか

ブルドックソースは、買付者のTOBが始まる前からこの防衛策を設けていたわけではありません。TOB開始後に、いわば「有事導入型」の防衛策を決めました。

一般に、買収提案を受けてから経営陣が防衛策を作ると、会社の利益ではなく、現経営陣が自分の地位を守るための措置ではないかという疑いが生じます。

最高裁は、防衛策が事前に存在しなかったという理由だけで、直ちに不公正になるわけではないとしました。

一方で、

現経営陣や特定株主の支配権を維持することだけを目的とする防衛策は、原則として著しく不公正である

という限界も明確にしています。

本件では、取締役会だけでなく株主総会が圧倒的多数で承認していたため、経営陣だけの保身策とは認められませんでした。


7.各裁判所の判断の違い

東京地裁

東京地裁は2007年6月28日、差止めを認めませんでした。

地裁は主として、

  • 株主総会が防衛策を圧倒的多数で承認している
  • 買付者側には新株予約権の価値に相当する金銭が交付される
  • 経済的な不平等が一定程度解消されている
  • 防衛策が経営陣だけの保身目的とはいえない

ことを重視しました。

東京高裁

東京高裁は2007年7月9日、買付者側の抗告を棄却しました。

高裁は地裁の論理に加え、スティール側を「濫用的買収者」と評価しました。これは、会社の企業価値を高めることよりも、会社や既存株主から自己の利益を得ることを主眼とする買収者である、という強い評価です。判断の詳細は東京高裁決定にあります。

最高裁

最高裁第二小法廷は2007年8月7日、買付者側の抗告を全員一致で棄却しました。

ただし、最高裁は東京高裁のように、スティール側を「濫用的買収者」と断定することを判断の必須条件にはしませんでした。

最高裁は明確に、スティール側が濫用的買収者に当たるかどうかにかかわらず、本件の株主総会決議、必要性、補償内容などを踏まえれば差止めを認めないと判断しています。

ここは本件についてよく生じる誤解です。

東京高裁:スティールは濫用的買収者である 最高裁:その認定に依存せず、本件では防衛策の差止めを認めない

という違いがあります。


8.最高裁判断を整理すると

最高裁が本件で防衛策の差止めを認めなかった論理は、大きく二段階に整理できます。

第1段階:防衛の必要性

買収によって企業価値や株主共同の利益が害されると株主が判断したか。

本件では、

  • 買収後の経営計画が具体的に示されていない
  • 株主総会で総議決権の83.4%が賛成した
  • 意思決定手続に重大な欠陥がない

ため、必要性が認められました。

第2段階:手段の相当性・比例性

採用した防衛手段が、目的との関係で過剰ではないか。

本件では、

  • 買付者側の株式を強制取得したわけではない
  • 新株予約権について現金補償を行った
  • 経済的損失を合理的に抑える設計だった
  • 一般株主が会社資金の支出も含めて承認していた

ため、相当性も認められました。


9.TOBの結果

最高裁決定後もTOBは継続され、2007年8月23日に終了しました。応募・取得株数は1,318,456株で、買付者は応募分を全て取得しています。買付予定数に下限がなかったため、TOB自体は成立しました。

一方、防衛策による希薄化後の所有割合は、買付者単体で1.89%、特別関係者を含む合計で5.41%にとどまりました。1.89%は応募割合そのものではなく、買付後に買付者が保有した割合です。最終結果はブルドックソースの結果開示で確認できます。

したがって、公開買付けは成立しましたが、買付者側は経営支配権を取得できませんでした。TOBの法的な成立と、買収目的の成否を分けて理解する必要があります。

支配権取得に至らなかった要因としては、次の事情が重なったと考えられます。

  • 新株予約権によって、既存の持株比率が大幅に希薄化された
  • 最高裁まで防衛策の差止めが認められなかった
  • ブルドックソース株主の大多数が会社側を支持していた
  • TOBに応募しても、支配権取得につながる見込みが低くなった

10.ブルドックソースが負担したコスト

買収防衛は無料ではありませんでした。

ブルドックソースの2008年3月期決算では、特別損失として、

  • 公開買付対応費用:6億7,400万円
  • 自己新株予約権消却損:21億1,400万円

が計上されています。

合計すると、買収防衛に直接関連する会計上の負担は約27億8,800万円です。

同年度の最終損益は約19億1,200万円の赤字でした。ただし、同年度には約6億3,100万円の減損損失などもあり、最終赤字は営業利益その他を含む年度全体の結果です。したがって、最終赤字の全額をそのまま買収防衛費用とみなすことはできません。数値はブルドックソースの2008年3月期決算資料に基づきます。

とりわけ大きかったのが、買付者側に割り当てた新株予約権を現金で取得・消却する費用です。

この点から、本件の防衛策は、

経営支配権を守る効果は高かったが、会社財産から多額の現金を支出する防衛策でもあった

と評価できます。


11.この事件が日本のM&A実務に与えた意味

① 株主総会の意思が極めて重要になった

本件以前、買収防衛策をめぐる議論では、取締役会の判断がどこまで許されるかが中心でした。

ブルドックソース事件では、最高裁が、買収による企業価値への影響について、原則として株主の判断を尊重する姿勢を示しました。

これにより、買収防衛策を発動する際には、

  • 株主に十分な情報を提供する
  • 買収者にも説明・反論の機会を与える
  • 株主総会の承認を得る

ことの重要性が強く認識されるようになりました。

② 株主平等原則は絶対ではないと示された

買収者だけに株式を与えない仕組みは、形式的には株主を差別しています。

それでも、

  • 企業価値・株主共同の利益を守るために必要で
  • 措置が過度でなく
  • 経済的補償があり
  • 適正な株主意思に基づいている

場合には、異なる取扱いが認められ得ることが明確になりました。

③ 「濫用的買収者」の認定がなくても防衛できる場合がある

最高裁は、買収者が悪質であることを裁判所が積極的に認定しなければ防衛できない、とはしませんでした。

株主が十分な情報を得たうえで買収を企業価値への脅威と判断し、その判断に重大な欠陥がなく、防衛策も相当であれば、買収者を「濫用的」と断定しなくても防衛策が認められ得ます。

④ 事後的な防衛策も一律に禁止されない

TOB開始後に導入する有事型の防衛策であっても、直ちに違法・不公正となるわけではないことが示されました。

ただし、取締役会だけで強引に導入する場合や、株主の利益ではなく経営者の保身が目的である場合まで認められたわけではありません。


12.本件への批判と限界

ブルドックソース事件は、防衛策を全面的に肯定した決定ではありません。むしろ、非常に特殊な条件がそろった事案と見る必要があります。

株主総会の賛成は本当に中立的だったのか

当時のブルドックソースには、取引先など会社側に友好的な安定株主が多かったと指摘されています。

そのため、

  • 83.4%の賛成を純粋な市場株主の判断とみなしてよいのか
  • 経営陣に近い株主の賛成によって、外部からの買収提案を排除することにならないか

という批判があります。後の政策的議論でも、株主総会の承認だけを過度に重視すると、企業が安定株主づくりを強め、経営規律を弱める可能性が指摘されました。東京大学ソフトローCOEの報告書も、こうした政策上の論点を扱っています。

買収者への現金支払いは適切か

買付者側に予約権の対価として多額の現金を支払ったことは、財産的損失を抑え、最高裁が防衛策の差止めを認めなかった重要な理由になりました。

しかしその反面、会社資金を使って買収者を希薄化する方法には、

  • 既存株主の財産が会社外へ流出する
  • 買収提案を行うだけで金銭を受け取れるとの期待を生む
  • 経済合理性の乏しい買収提案を誘発しかねない

という問題があります。2008年の政策的検討でも、買収者への現金交付を伴う防衛策を一般化することへの慎重論が示されました。

本件決定を他の事件にそのまま適用できない

本件には、

  • 総議決権の83.4%という非常に高い賛成率
  • 買収者への具体的な金銭補償
  • 買収者に意見表明の機会があったこと
  • 買収後の具体的経営計画が示されていなかったこと
  • 防衛策が経営陣だけでなく株主総会によって承認されたこと

という特殊事情がありました。

賛成率が僅差である、買収者への補償がない、株主への情報提供が不十分である、取締役会が自己保身のために発動した、といった事案でも同じ結論になるとは限りません。


結論

ブルドックソース事件を一言で表すと、

株主総会が十分な情報のもとで圧倒的多数により承認し、買収者の経済的損失にも合理的な補償を行うなら、買収者だけを希薄化する防衛策も例外的に認められ得る

と最高裁が示した事件です。

ただし、最高裁は「スティールは外国ファンドだから排除してよい」と判断したわけでも、「敵対的買収なら常に防衛してよい」と判断したわけでもありません。

判断の核心は、次の4点でした。

  • 株主が買収を企業価値への脅威と判断したこと
  • その株主意思の形成過程に重大な欠陥がなかったこと
  • 防衛策が経営者の保身だけを目的としていなかったこと
  • 買収者に対する不利益が、金銭補償により相当な範囲に抑えられていたこと

このため本件は、買収防衛策を無条件に認めた判例ではなく、株主意思・適正手続・必要性・比例性という条件を満たした本件で差止めを認めなかった決定と理解するのが正確です。

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